「△(サンカク)」~ヤングカンヌへの挑戦②~

みなさんこんにちは!
アカウントプランナーの慶野です。もう年が明けて、早くも2か月を経とうとしていますね。去年を振り返ってみると、充実していたなと思える一年になっていた気がします。
その中でも、私にとって大きなイベントはこの記事で綴ろうとしているヤングカンヌへの挑戦です! 応募することになった経緯やヤングカンヌの説明は第一弾の記事に書かれているので、見ていない方はヤングカンヌへの挑戦ブログ(前編)」ヤングカンヌへの挑戦ブログ(前編)をまずご覧ください。

今回の記事では、予選までの1ヶ月間、私たちがどのような対策を練っていたのか、本番を迎えてみて学んだことをみなさんに共有させていただきたいと思います。
今後ヤングカンヌを受けようと思っている皆さまに少しでも参考となれば嬉しいです!

目次

  1. 作戦(スケジュール)
  2. ヤングカンヌ模擬練習について
  3. 2023年度日本国内予選課題発表!
  4. 提出した作品のご紹介
  5. 振り返り
  6. 会社紹介

作戦(スケジュール)

まず、国内予選までどのように私たちが過ごしてきたかをお話ししようと思います。
初めて組むペアということもあり、予選当日までは交流する機会を作ったロードマップを作成しました。(画像参考)
企画を考えることをそもそもしてこなかったメンバーもいたので、過去の題材を使って模擬練習にも取り組みました。

2022/9-10 プロジェクトロードマップ

ヤングカンヌ模擬練習について

ヤングカンヌに挑戦するにあたり、予選を通過したことを見据えてヤングカンヌとヤングスパイクスの過去のお題をもとに模擬練習を各チーム行いました。その時に考えた企画をそれぞれご紹介いたします。

①デジタルチーム(八田・犬ももペア)

・取り上げた課題:「How can we use digital to activate action against stereotypes?」
(和訳:デジタルを活用して、ステレオタイプに対するアクションを活性化するにはどうしたらいいか?)」(2022年度ヤングカンヌ本戦課題)

・題名:SAVE-ステレオタイプの“今”がわかる!
SAVEとは、「ステレオタイプ(多くの人に浸透している固定観念や思い込みのこと)は“流動的なものである”」ということを認知させることを目的としたデータベースです。SAVEというWebアプリケーション内でそれらをデータとして可視化できればアップデートされていることに気づくことができるので、“今”を知り、行動へ繋げる一歩になり得ると考えました。

デジタルチームのコンセプトボード

②PRチーム(慶野・宇津木ペア)

・取り上げた課題:「母の日に、香港の慈善団体である『Mother’s Choice』への募金を集めるキャンペーンの開発」(2021年度アジアスパイクス本戦課題)

・題名:Black Mother’s Campaingn
私たちが考えた「Black Mother’s Campaign」とは、母の日にMother’sChoiceが詐欺団体を装ったオンラインストアを設立し募金活動をするというキャンペーンです。この施策をきっかけに募金を装った詐欺に対する世の中の目が厳しくなり、慈善団体に自然と寄付が入りやすくなるサイクルが生まれることを期待して考えました。

PRチームのコンセプトボード

実際に使われていた課題に取り組んでみて、時間の使い方をシュミレーションできたことが経験として大きかったです。
また、部門ごとに評価されるポイントに気づけたり、資料構成の基本をインプットする重要な機会になりました。
ペアのことをどれだけ知っているかが良い企画を生み出すためのポイントでもあるので、企画作成を進める中でペアの性質を知るきっかけにもなりました。

また、会話の中で、認識の違いが発生した時の対処法をこの時に見つけたことが本番にとても活かされていたと感じます。(PRチームでは、独自のフレームワークを使って要素を整理し、認識に誤りがないかを話し合い解決していました。)

2023年度日本国内予選課題発表!

10月に入り、待ちに待った課題が発表されました。
2022年度のヤングカンヌ予選では、課題テーマに孤独問題について取り上げていましたが、今回は環境問題について取り上げていました。
課題テーマは、デジタル部門・PR部門それぞれ共通していますが、与えられたミッションは異なります。
これから、私たちが提出した作品と共に紹介していきます!

【課題テーマ:海洋プラスチック汚染問題】
アジアにおける海洋プラスチック汚染の問題を解決するために、クリエイティブの力をどのように活用できるか?

・デジタル部門の課題
アジアの海洋プラスチック汚染問題の解決策を見出すためのデジタルキャンペーンを作成する。
デジタル:アジアにおける海洋プラスチック汚染問題の解決に向けたデジタルキャンペーンを実施。

・PR部門の課題
アジアの海洋プラスチック汚染を減らすために、行動変容を促すPRキャンペーンを作成する。
PRキャンペーンとして、政府、市民社会、国際機関、専門家、学術機関、メディア、民間企業など、グローバルなパートナーと共にアクションを起こす必要がある。

課題テーマの要旨

※原文はこちら

提出した作品のご紹介

①デジタルチーム(八田・犬ももペア)

題名:「Beach Flying Catcher」
私たちは、海洋に流れていくプラスチックゴミの発生元を調べていく中で、全てが故意に捨てられているのではなく、気付かぬうちに捨ててしまっていたり、または軽い気持ちで捨てられているゴミに対して、もっと意識を向けさせる方法はないか?と考えました。
Beach Flying Catcherは、AR技術を用いた擬似的なゴミ拾いです。
海と人が密接に関わりがあるビーチでの利用に限定することで、海の環境保全を海が大好きな方から広めようという施策です。
風で飛ばされてしまったゴミを追いかけることなく、「まぁいっか」で済ませてしまった経験はないでしょうか?
そういった「ついうっかり」をゲーミフィケーションとして追いかけてキャッチする、という施策を提案しました。
Beach Flying Catcherと命名したのは犬ももというユニークなパートナーの提案で、ビーチフラッグのようなビーチでやる遊びの一つになってほしい、という想いからもじりました。

デジタルチームのコンセプトボード

②PRチーム(慶野・宇津木ペア)

題名:「CONNECTED TRASH CAN」
私たちは、ゴミ箱に入れたゴミが東南アジアの途上国のゴミ山に落ちているように見えるインタラクティブコンテンツを考えました。
戦略としてはまず、私たちは海洋プラスチック汚染問題の原因を調べました。
すると、世界全体の海洋プラスチック流出量のうち約60%が東南アジア諸国から海に流れているデータを見つけました。
そのデータを見る限り、東南アジアは問題に対して意識が低く周りの国は関係ないと思ってしまうかもしれませんが、日本を含む先進国がゴミをそこに輸出しているのも原因のひとつなんです。
なので私たちは、アジア在住の一般市民に、捨てているゴミは途上国に届くことを伝えて、海洋プラスチック汚染問題を自分事化させる施策を考えました。

PRチームのプレゼン資料から抜粋

【どうやって企画を考えたのか(PRチーム例)】
提出日当日までの2週間、メンバーがどのように企画を考えていたかをここで共有したいと思います!今後、皆さんが実際に応募した時の参考になれば幸いです。

1. 課題を見て最初の印象からフラッシュアイディアを出し合う
2. 海洋プラスチック問題にまつわる事象を個々でできるだけたくさん調べる
3. アイディアに落とし込み共有
4. いいと思ったアイデアを詰めて企画っぽくする
5. 企画の情報整理
6. 資料にまとめる
7. 翻訳

※miroで情報を整理していました(画像参考)

実際に活用していたmiroのスクリーンショット

上に書かれていることが工程のすべてですが、企画を考えるまでの道のりは長く、実際には企画っぽいものができるまで1週間半かかりました。
そこから大幅修正を繰り返し、アイディア出しを粘った結果、提出日前日にして内容が固まり、提出日当日資料作成と翻訳をすることになりました。1週目で企画の落とし込みはしておくべきでしたね。
最初のフラッシュアイディアを話し合う会は、内容の理解やアイディアのタネにもつながったので今後も続けていきたいと思います。

振り返り

今回の結果は、残念ながら入賞に届かずに終わってしまいました。この経験を次に活かすために反省会を行いました。応募した人は、受賞作品を見ることができます。受賞作品と比較して、自分たちに足りなかったこと・今後生かしたいことを部門ごとにまとめました。

<デジタルチーム>

1. 単発ではなく継続的な訴求をする
「思いがけず出来てしまうゴミ」にフォーカスをあて、「まぁいっか」で済ませてしまうような気持ちに変容を起こそうとした企画自体は、着眼点は良かったという社内での評価を頂いておりました。
しかしながら、”ビーチに遊びにくる人”と”ゴミ拾い”の結び付けが弱かったり、それがどのような広がり方をしていくのか、「今後も続けていこう」と思えるのか?そこまで落とし込めていなかった部分が落選してしまったポイントではないかと考えています。

受賞作品の企画はいずれも、長く使われていくようなものであったり、広く訴求できるイメージがはっきりと見えるものでした。
海洋プラスチック問題は単発的な施策では全くといっていいほど効果は無いため、継続的かつソリューションそのものが広まっていくところまでを考え抜けると良かったのかもしれません。
また、他の人にシェアできるような取り組みまで考え抜かれていました。
例えば、「自分に害が及ぶこと、イコール自分ごと化」としたり、シェアという行為を楽しめるものにして、限りなくハードルを下げていました。

2.予備知識がある状態とない状態で企画を考えてみる
これは先輩たちから教えていただいた考え方なのですが、発表された課題について何の知識も無かった場合、すぐに全容を把握しようと調べてしまって、知識をインプットするうちに背景や課題、解決策といった情報までも入ってきてしまうため、ある種誰でも思いつくようなアウトプットになってしまう、というものでした。
それを回避するために、まずは何も知らない状態から課題と向き合い、方法をさまざまな視点から探りました。
突飛なアイデアももちろん出てきますが、結果として、その時に出したアイデアが後々行き詰まった時の助けになってくれました。

3.期限を決める
他の作品のようなクオリティーの高いものにするにはアイディアも重要ですが、私たちにおいて何より重要だと感じたのが期限を決めることだと思いました。
より良いアイデアを追い求めていくと正直キリがないので、際限なく時間を浪費する危険性がありました。
そこで、何をするにもどれくらいの時間を使うか、と予め決めておき、それまでに出たアイデアをブラッシュアップするにはどうしたらいいか?と考える時間を設けました。
どこにどれだけ時間を使うかのリミットを定めることで、緊張感も出ますし、追われている気分になって燃えました(笑)

<PRチーム>

1. 話題を呼んで行動変容を促す
受賞作品のアイディアは、他の人に伝えたくなるような話題化を狙った企画になっていて、そこから海洋プラスチック問題の認知や行動変容に結びつけていました。
自分達の企画はどちらかというと海洋プラスチック問題を誰に伝えれば解決されるかといった、問題を解決する方法から考えており、それがどうすれば世の中に広まっていくかを考えられていなかったと思います。

2.人が動くタイミングを活かす
人が動くタイミングを活かしてアクションを起こしており、キャッチーな企画になっていました。
自分達の企画はそのようなことまで考えられていなかったので、何をするかが大事だが、どのタイミングで実施すれば効果が最大化されるかといった視点も持つべきだと感じました。

3.意外な事実を持ってくる
受賞作品を見ているとあまり知られていない海洋プラスチック問題の原因になっている事実を取り上げていました。
それによって他と差別化された特徴的な企画になっています。加えて、共感できるわかりやすい事象を持ってきていたので意外性を感じやすかったです。

会社紹介

◇PYRAMID FILM QUADRA INC.
幅広い領域に対応可能なアイデアを、日々進化するテクノロジーを活用して形にする会社です。デジタルを中心としたコミュニケーションを企画から開発までワンストップで対応。クライアントの抱える課題解決や、新しい価値の創造に挑みます。
〒108-0023 東京都港区芝浦2-12-16 6F
03-5476-4745
PYRAMID FILM QUADRA INC.公式サイト

◇トンガルマン株式会社
スマホやタブレットPC、Oculus GOやVIVE、Apple Watchなど新しいデバイス向けのアプリを企画・開発しています。人々のハートに突き刺さる針となって、世の中の張りつめた空気を抜き、リラックスさせる。そんなクリエイティブを目指しています。
・大阪本社
〒530-0001 大阪市北区梅田2-5-6 桜橋八千代ビル2F
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・東京支社
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番5号 渋谷プレイス8F
03-6416-9622

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