他の部署にも適切な技術アドバイスを導くために、マネージャーが心がけているヒアリングの要素とは

今回お話を聞くのは、取締役兼システム開発グループのマネージャーをしている広橋さんです。広橋さんは様々なプロジェクトに携わり、各部署のメンバーに技術のアドバイスを丁寧にしてくれる、トンガルマンに無くてはならない存在です。
広橋さんはSlack上であちこちのプロジェクトに飛んで行き、どんなに細かな技術の困りごともアドバイスをしてくれます。あまりの反応の早さや丁寧さにAIレベルだと社内で話題にあがることも。

他の部署のメンバーにも適切な技術の助言をするために、ヒアリングの仕方に心がけていることがあると言います。その心がけとは何なのか。また、どの部署のメンバーにもいち早く助けてくれるその心についても、お話を聞いてきました。

広橋 直之(ひろはし なおゆき)

トンガルマン株式会社 取締役兼 システム開発グループマネージャー
前職で専門学校教員を3年、グループ会社である(株)ジーピーオンラインにてWebのシステム開発に従事後、2015年にトンガルマンへ入社。入社の決め手は、新技術に触れられると感じたから。
アプリ・3DCG系・VR系の開発を主に担当後、2016年に開発グループマネージャー、2017年に取締役に就任し現在に至る。
トンガルマンの好きなところは人、チャレンジを応援してくれる社風。デスク周りのこだわりポイントは、帰宅段階でスッキリ整頓すること。

目次

  1. 他の部署にも丁寧に助言をしてくれるCSO(チーフササエルオフィサー)
  2. 専門用語は、必ず言葉の定義をすり合わせたうえでアドバイスをする
  3. アドバイスは相手を「促す」ことを意識する
  4. 一緒に寄り添い、メンバーが進んでいくための糧になりたい

他の部署にも丁寧に助言をしてくれるCSO(チーフササエルオフィサー)

今回お話を伺う広橋さんは、トンガルマンの取締役でありCSO(チーフササエルオフィサー)です。この「チーフササエルオフィサー」とはトンガルマン公式の肩書きのようで、広橋さんの名刺にも記載されています。
広橋さんに適切なアドバイスをもらって助かっていると、他の部署のメンバーからの声を聞くことがよくあります。取締役やシステム開発チームのマネージャをしながらも、様々な部署のメンバーをどのように支援しているのでしょうか。
実際に、広橋さんにどのように助けてもらっているのかを社内メンバーに聞いてきました。

・ディレクター1
「ほんとに大阪オフィスにいって本人に会うまでAIだと思っていました…それくらいレスポンスが早く言語化が下手な僕の意見を細部までくみ取って頂きました」

・ディレクター2
「状況に応じた適切な対応の仕方を丁寧に指導してくれる。話し合いの方向性がずれていたりする時の対処の仕方、技術面以外のアドバイスももらえる。Slackで広橋さんの名前で検索した方が早いくらい、色んなプロジェクトに飛んで行ってくれる」

・営業1
「どんなに小さいことでも、私が分からなかったところを説明してくださった。」

担当である、システム開発グループのメンバー以外にも飛んで行ってるとは本当のようです。実際に、広橋さんにもお話を聞いてみることにしました。

専門用語は、必ず言葉の定義をすり合わせたうえでアドバイスをする

――ディレクターや営業メンバーからこのようなご意見があったのですが、広橋さんは他の部署のメンバーからどのような相談をされるんですか?

他の部署からシステム開発グループへくる質問は、案件の質問に加え、提案や見積もりなどの技術関係のものが多いです。
相談をくれた相手のスキルや職種などの状況によって、どう回答するかが変わってきます。たとえば見積もりだったら最終ゴールは金額を正確に算出することです。そのために必要な情報は何か、足りないものは何かを整理してヒアリングをしていきます。相手が分からないことは何なのかを明確にして、一緒に考えながら解決しています。どんな質問なのかに加えて、誰から質問を受けるかによって、ヒアリングで意識することも違ってきます。

――メンバーから細かい情報や認識を丁寧に確認、ヒアリングされているように見えるのですが、なぜですか?

この業界では専門用語が飛び交うと思うのですが、ひとつの用語でも人によって、会社によって理解度や定義が違ってくるんです。この要件定義はとても大事で、同じ単語でも業界によっても、会社によってもバイアスがかかることがあります。言葉の細かいニュアンスで、受け取る相手の認識は少しずつ違う可能性がある。トンガルマンの中での認識、定義として理解を併せていくことがまず第一にあります。

メンバーの経験や理解度を踏まえて定義や認識を確認し、あわせていく。

クライアントとの認識合わせの時もここは大事で、プロジェクトの始めで丁寧に認識を合わせておかないとデザインに起こした後や実装後にクライアントの意向とずれてしまうんです。認識や理解が間違っているのではなく、業界によっても意味合いが異なってくるんですよね。この会社はこのワードはこの認識である、という認識をひとつひとつ合わせることが大事なんです。

――会社ごと、業界によっても意味合いが変わってくるんですね。では、新しい技術を取り入れた時は特に、新人メンバーだけでなくベテランメンバーも認識合わせをきちんとする必要があるということでしょうか。

そのとおりです。新しい言葉が出て来たり、クライアントが新しいことをやろうとしている時は、どんな経験のあるメンバーでもずれが生じる可能性はあります。トンガルマンが提供しているソリューションは、複数の技術の組合せによるクリエイティブ の実現や課題解決です。ですので、複数の技術が出てきたときに、選定する部分でもノウハウが必要になってきます。

例えば、ABCの技術の組み合わせが良いと思うが、ABDの組み合わせでも課題解決できる場合、何が最良かを擦り合わせる必要があります。どれかの認識一つでも互いのずれてしまうといけませんよね。ですので、相手がベテランメンバーだとしても、A、B、C、Dのすべての認識や理解を欠かさず確認します。「Cはちょっと難しい内容ですが分かりますか?」のように。そのうえで技術の組み合わせを提示するようにしています。

――技術の組み合わせ方によって、実装後のイメージががらりと変わる可能性があるんですね。認識合わせを会社ごと、業界ごとに行うのは骨が折れそうですが、それほど大切だということですね。

アドバイスは相手を「促す」ことを意識する

――複数の技術案を提示されるとのことですが、その中からどのように決めていくのですか?

ひとつのものでも必ずメリット・デメリットがあるので、他の方法も比較対象として複数提示をしていますね。そのうえで、メンバーに対して「促す」ことをします。

――「促す」…ですか?

こうあるべきとこちらの意見を押し付けることをしない、という意味ですね。
まず、メンバー自らが考えて、自分の意見としてクライアントに提案してもらいたいんです。メンバーが成長するためには、本人が意思決定できることが大事だと思っています。確実に答えが決まっている場合は「僕ならAにしますが」と言いますが、基本的に本人が理解して、納得したうえでどうしたいかを決めてもらうようにしています。

――広橋さんが丁寧にヒアリングしたうえでアドバイスをするのは、メンバーをより正確に「促す」ためもあるのでしょうか。

はい。組み合わせる技術を選択するための要素となるのはスケジュール、優先順位、難易度、プロジェクトの背景や経緯すべてを踏まえる必要があります。要素の情報共有が出来ていなかったり認識がずれていると、勧める技術も全く変わることもあります。

でも、限られた時間の中で根掘り葉掘りすべての情報を共有しあうのが正しいわけではなくて、状況次第で必要となる情報のさじ加減が必要になってくるんです。時には、報告内容が具体的な方が良かったりなどですね。なので、その時に必要なコミュニケーションは何かを選択することが大事になってくるので。僕からもそう意識しますし、質問をくれる側もそうしてくれるとより答えやすいですね。
そこで補えないものは後から補足したり、今伝える 必要が無ければ、このプロジェクト が終わってから言おう、だとか。今伝えるべきことと、今考えないといけない事を一緒に整理しながら、一緒に解決に進んでいきたいですね。

所属する部署の目標や、どのように成長したいかなどの個人の目標や想い全てが、アドバイスをするうえで情報としてセットになっていると思っています。それを踏まえたうえで助言をするのが理想なのですが、勝手な推測や思い込みもきっとあるでしょうね。なので、こうだろうという決めつけはしたくないですし、できるだけヒアリングする際はフラットに、違うところがあったらすり合わせを毎回するように意識しています。

――社長の水野さんが「トンガルマンがクライアントに提供するこれらのアイデアは、あくまで選択肢でありアドバイスである。」と仰っていました。メンバーに対してもクライアントに対しても、最終的には自分で納得して決断してもらうことを大切にしているんですね。

一緒に寄り添い、メンバーが進んでいくための糧になりたい

――開発チームのマネージャーをされてとてもお忙しい中で、他の部署のメンバーのこともくまなく見てくださるのには理由があるのですか?

極論を言えば、会社だけでなく全国の困っている人を助けたいという気持ちです。実際は、時間や物理的に難しいこともあるので、少なくとも自分の手が届く範囲の人は助けたいと思って動いています。

このマインドをもつきっかけは、学生の頃ホテルでバイトをしていたことです。お客様からはこう見えて、こういうことを期待しているのかと察しながら行動しないといけないことを叩き込まれましたね。それまで、どこの場面でどのように気を使うかを学んだり考えたことがなかったので、当時大学生だった僕にとっては衝撃的でした。
それから時がたって、ある専門学校で教員をすることになりました。そこでは教員としての苦悩や気づきを得ることがありましたが、同時に自分は人に教えるのが好きなのだと知ることができました。

そんなことがあって、アドバイスをしてメンバーが助かっている、それが糧になって次につながっているという事実が自分にとっても幸いだと感じるんですよね。でも正直、良いことをした自分に満足している部分はあります。募金をした時だとか笑。

――自分のチームへと他のチームへとでアドバイスを分けたりはするのですか?

他の部署のメンバーの対応で分けているとしたら、一歩引いた位置から言うようにしていることでしょうか。
チームによって方針は違います。今はこういう案件のこういうところに力を入れてほしい、くらいだったら僕も理解はしているけれど、本人と上長の間でもっと細かい方針や思惑があってマネージメントをしていると思うので、そこに触れそうなことはあまりしないですね。必要だったら、聞いたうえで話すようにしています。それを除けば、他は対応に違いはないかなと。

結果的に開発チーム以外にもアドバイスをしていますが、「CSO(チーフササエルオフィサー)」としてそうありたいと思っています。この「チーフササエルオフィサー」という言葉には、開発メンバーはもちろん、それにとどまらずトンガルマンという会社に携わるすべてのメンバーの助けになりたいという意味が込められています。聞かれたら何通りか答えを提示してくれるAIが居たら便利かもしれませんが、僕はそれだけでなく、メンバーをブーストする役割になって一緒に寄り添って成長していく存在でありたいと思っています。

――広橋さんの名刺にも、取締役兼CSO(チーフササエルオフィサー)とあります。親しみやすく、優しさあふれる響きです。メンバーの糧になることが嬉しいとのことですが、どのように成長してほしいなどの思いもあるんですか?

今教えたことが糧になって数か月先に次のステップにいる、くらいはありますが、基本的にはメンバー自身が解釈して進んでいってほしいですね。会社の一員として方向性は同じだけれど、どう進んでいくかはメンバーによって違います。個人の選択や意思を尊重しているので、このようにと強制するものでもないと思います。

会社に、聞かれたら何通りか答えを提示してくれるAIが居たら便利かもしれませんが、僕はそうではなく、一緒に寄り添って成長していきたいと思っています。成長したメンバーがそれぞれ、Technology based Ideation、Perception、Creationに関し、部署ごとにビジョンを体現してくれたらいいですね。

――広橋さんありがとうございました!どんどん増えていくメンバーたちが作り上げていくチームが今後も楽しみです。

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