2022年11月3日に、新潟県小千谷市にある「テレワークステーションおぢや」にて、高校生を対象とした「デジタルテクノロジー体験イベント」を行いました。
このイベントは、地方創生カンパニーである株式会社あわえ様と共同で実施いたしました。
地元高校生のシビックプライド醸成を図ったこのイベント。開催に至った背景やイベント当日の様子を、小千谷市商工振興課の大矢様、株式会社あわえ谷口様、参加していただいた安澤さん、赤井さんへのインタビューとあわせてお送りします。
目次
花火と錦鯉を誇る町が抱える、教育インフラの課題と若者の町離れ
本イベントが開催された新潟県小千谷市は、越後平野の南端である中越地方に位置し、日本一長い川である信濃川が市内全域を流れています。
花火と錦鯉が地域資源であり、直径120センチもある世界一の大玉花火「四尺玉」は、かつてギネスブックにも掲載されていました。また、市の魚に制定している錦鯉は小千谷市で初めて誕生し、世界中に広がるきっかけとなりました。
詳しくは小千谷市ホームページをご覧ください。
日本を代表する地域資源がある小千谷市ですが、若者が高校卒業を期に町を離れていく傾向がありました。その理由の一つが、教育インフラの導入が進んでいないことでした。
そこで行政は、学生に町で貴重な体験をしてもらい、「いずれは町に戻り、町のためになにかしたい」と思ってもらうようなシビックプライドの醸成ができる施策を考えていました。
地域課題とその課題を解決するための企業のスキルをマッチングさせる地方自治体イベントにトンガルマンも参加させていただき、主催された株式会社あわえ様に小千谷市の状況や高校生向けテクノロジー体験イベント開催予定についてお話を伺いました。
小千谷市の若者がテクノロジーにふれることで、その価値や面白さを知ってもらい、これからの小千谷市をより良くしたいと思ってもらうきっかけになってほしい。そんな思いから、株式会社あわえと共同で本テクノロジー体験イベントを開催することになりました。
ここからは、イベント当日の様子を振り返りながらお送りしていきます。
テクノロジーに触れてみよう。「町に戻り、町のためになにかしたい」を醸成する体験イベント
「高校生向けテクノロジー体験イベント」は、株式会社あわえが運営をする「テレワークステーションおぢや」にて行われ、小千谷市に在住、在学している高校生に参加していただました。
「高校生向けテクノロジー体験イベント」は、以下の3つのプログラムで行われました。
①Leap Motionコンテンツの体験
Leap Motionは、手のジェスチャーだけでPC内などのコンテンツを自由に操作することができるデバイスです。デバイスに搭載された赤外線カメラが画像解析を行い、検知範囲である半径50cm程度、中心角110°の空間内にて、3D空間で手や指の位置を割り出すことが可能です。
このイベントでは参加者に、ゲーム「CONTACTLESS EXPERIENCE」を体験していただきました。
トンガルマンのLeap Motionを活用したプロジェクトをご紹介します。
◇さわる3D マワリアル
販促ツールが集まる展示会「プレミアム・インセンティブショー」に出展させていただいた際に、赤外線を利用したLeap Motionを使ったデモアプリを開発しました。
画面の中の3Dデータを直に触って動かしているかのような感覚を体験してもらうため、直感的なUIを重視しました。
◇360°frontier
オーストリアのリンツで開催されたArs Electronica2015・神戸で行われたSIGGRAPH ASIA2015の展示にて、関西大学総合情報学部の官産学共同プロジェクト「360°frontier」の技術協力をさせていただきました。
360°動画を球体ディスプレイに投影し、LeapMotionで操作を行うコンテンツの操作部分を担当開発しました。
②VRコンテンツの体験
VR(Virtual Reality)は、数年前までは高額で体験したことがない人が多かったものの、近年では比較的安価となりVRゲームやVR360°Youtubeなどのコンテンツも豊富になってきました。あるVRアーティストのNFT作品が高額で落札されるなど、話題を呼んでいます。
今回は、「META QUEST」を体験していただきました。
トンガルマンのVRプロジェクトはこんなものがあります。
◇美馬市VRコンテンツ
徳島県美馬市にある吉田邸の2階の一室にて体験できる、Oculus Goを使用しVRコンテンツを制作いたしました。
吉田邸の当主のキャラクターが登場し、江戸時代の「うだつの町並み」の様子や当時の吉野川について5つの質問に答えて解説いたします。
◇二子玉川 蔦屋家電 オープニングイベント用OculusRift体験コンテンツ
蔦屋家電のオープニングイベントにて、弊社開発のヴァーチャリをカスタマイズしOculusコンテンツを開発しました。エアロバイクやコントローラーで操作して「中世ヨーロッパのお城」、「ファンタジー」の2種類の3D世界を自由に散策することが出来ます。
また、Oculus内の3D映像に登場する絵本も制作しました。イベント会場で手に取ることができ、リアルの世界から3Dの絵本の世界に入り込む感覚が味わえます。
③「みんなで作ろう小千谷市シティプロモーション映像」企画
小千谷市の高校生に、自分の好きな小千谷市の風景をスマートフォンで撮影していただき、トンガルマンで構成、編集をし映像にする企画を行いました。
観光では気づけない、高校生の独自の視点を取り入れました。
参加していただいた高校生お二人に、イベントの感想をお聞きしました。
イベント体験者 安澤さん
――本日はご参加、ありがとうございました!このテクノロジーイベントで体験してみてどうでしたか?
もともと機械が苦手なんですが、本イベントのVR等の企画を知り普段体験できない貴重な機会だと思い参加させていただきました。
実際体験してみたら想像していたより簡単で、感覚でできたことが嬉しかったです。
テクノロジーへの、不安とか難しいという先入観がなくなりました。また学校の授業でも使ってほしいと思いました。
――学校でタブレットの支給などあると思いますが、授業で使っていてどう感じますか?
実際資料などを作るときなど、アプリを起動から設定などある程度の順序を踏まないと利用できない仕様になっているので、すぐ使えるVRのような感覚でできるようなものにしてほしいです。
やれる幅が少ない。タイピングも覚えないとできないですけどVRなら直感的にできそうだと思いました。
――興味のあるテクノロジーはありますか?
今回のイベントでVRで絵をかけることを初めて知りました。
手元にあればずっと使っていたいと思います。絵のパレットも豊富に使ってみたいです。
――安澤さん、ありがとうございました! テクノロジーへの先入観がなくなって、またやってみたいと感じていただけたことに嬉しく思います。
イベント体験者 赤井さん
――本日はありがとうございました!このテクノロジーイベントに参加してみようと思ったきっかけは何ですか?
高等専門学校に通っていて、テクノロジーに興味がありました。
また、Leap Motionなどに触ったことなかったので、ぜひ体験したいと思い参加させてもらいました。
――体験をしてみて、どう感じましたか?
VR、Leap Motionなど他にもいろんな技術が合わさると面白いなと思いました。娯楽だけでなく学校でも是非取り入れてほしいです。
仮想空間で触感をあたえるような技術が出てきたら、今後はもっと没入感がある体験ができるのかなと思いました。
――赤井さん、ありがとうございました! 学校でももっとテクノロジーが使われるようになれば、学生さんにもっと馴染みやすいかもしれませんね。
イベントを通じて感じていただいたこと
本イベントのクライアントである小千谷市商工振興課 大矢様と、共同で開催させていただいた株式会社あわえ谷口様に、「高校生向けテクノロジー体験イベント」を終えて感じられたことをお伺いしました。
小千谷市商工振興課 大矢様
――本日は「高校生向けテクノロジー体験イベント」を開催させていただき、ありがとうございました。 はじめに、お仕事の内容をお聞かせください。
商工振興課で所属しており、市内の事業社等への支援や企業誘致の担当も行っています。
主に市内に進出される企業の誘致する活動をしております。
広くITベンチャーなどの企業にも広角にアプローチしていく重要性も感じており、国の公金事業を通して、受け皿となる「テレワークステーションおぢや」をつくりました。
――本イベントをはじめ、「高校生向けのイベント」に重きを置かれていらっしゃる理由を教えてください。
当市の人口減少に伴い若い世代の労働力も低下していると実感しているためです。
若い世代にはこのまま当市にいてほしいと思っておりますが、市内に高等教育機関がないため高校卒業と同時に市内から離れていく傾向が現状としてあります。そのために、地元への愛着をもってもらい、その先またUターンしたいと思ってもらえるような、記憶に残るような特別な体験イベントを、「テレワークステーションおぢや」をいかしながら提供したいと考えています。
「高校生向けテクノロジー体験イベント」を通して、高校生に興味をもつことや好奇心に繋げてもらい、刺激や思い、その分野の学びを持って地元企業に就職してもらえればと思っております。
――DXやテクノロジー等、スマートシティ化を国が推進している中で、小千谷市さんはどういった分野にご興味がおありでしょうか?
直近ではドローンや3Dプリンターを活用し学生をメインとした何かを生み出すイベント等がしたいと思っております。
トンガルマン様にもご協力いただき、何かできたらいいなと思っています。
――ありがたいお言葉をいただき、光栄に思います。今後も、小千谷市の学生さんたちにテクノロジーの面白さをお伝えするきっかけを共につくらせていただけたらと思います。 大矢様、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
株式会社あわえ 地方創生推進部 小千谷オフィス コミュニティマネージャー 谷口様
――この度は「高校生向けテクノロジー体験イベント」の共同開催をさせていただき、ありがとうございました。 はじめに、お仕事の内容をお聞かせください。
「テレワークステーションおぢや」の運営と、サテライトオフィスの誘致活動を行っております。
主に進出企業と地元企業とのマッチングであったり、商店街の活性、「テレワークステーションおぢや」を利用いただいてる高校生にとって実りとなるイベント事業の企画などを行っています。
――本イベントの共同開催を快諾いただいた理由をお聞かせください。
地元の高校生はVR等のテクノロジーやクリエイティブに触れる機会がほとんどないので、今回ご提案くださったイベント企画は学生にとってとても有意義なものになると思いました。
――今後はどういったイベントを行いたいと思われていますか?
プログラミング体験ができるイベントの開催に興味があります。
地元企業や飲食店などのwebサイトを新しくしたいのですが、いずれは小千谷市出身の方に作ってもらえればなと思っています。プログラミングを学ぶ機会をイベント等で行うことで、地元の高校生が地元貢献でき自分達の町をより良くしたいと思うきっかけや、地元への愛着に繋がるような取り組みに繋げたいと考えています。
――谷口様、貴重なお話ありがとうございました。 今後も、小千谷市の高校生に地域支援をしたいと思っていただけるような、テクノロジーイベント等のお手伝いができたらと思っています。
心ひかれるカルチャーや地域資源を、テクノロジーの力で守っていく
今回のイベントに参加された高校生は、最新のテクノロジーや触覚を通じた技術がどんなものか興味があるように感じました。
「このLeap Motionでどういった職業でいかせるのか」
「VRでのアート制作に対して今後もやっていきたい」
「小千谷の仮想世界をつくりたい」
などの声もあり、体験を楽しみながらもテクノロジーを通して町づくりや、職業に応用する方法を考えるきっかけに繋がったのではないかと思います。
イベントの最後に、参加者との意見交換をさせていただきました。「テクノロジーで小千谷市の魅力を感じてもらい、人が集まってきてほしい」などのご意見もあり、高校生たちが自分の故郷について前向きに見直すことができたようで、意義のある取り組みとなりました。
これらの声を踏まえて今後は、学校の放課後でプチ体験を開催するなど、より多くの学生が参加しテクノロジーに触れることができるイベントを開催させていただく予定です。
日本を代表する花火と錦鯉という地域資源をもつ小千谷市。より多くの若者が、この美しい資源を守り続けたいと思ってもらえるように、トンガルマンは今後も熱意とテクノロジーをもって支援させていただきます。
トンガルマンには、Local Innovation Hub(LIH)という、地域創生のユニットがあります。
Mission「地域の課題を解決してクリエイティブかつ、サスティナブルな構造をつくる」
Vision「テクノロジーを主軸とした個の得意領域をもって地方を豊かにする」
をもとに、DX テクノロジーによる地域への「かけはし」を目指していきます。
どの地方にも、そこにしかない魅力的な地域資源があります。
守り続けてこられた方々と共に、心ひかれる資源をテクノロジーの力と融合して、その魅力をさらに磨き上げ引き出していきたいと思っています。トンガルマンはそのためのブリッジ役であり、地域やカルチャーを守り、日本のよさがさらに発展するためのお手伝いをさせていただきます。
ご相談の内容が固まっていない状態でも、お気軽にお問合わせください。
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