裸眼3D広告の事例として紹介されるのは、新宿や渋谷など東京の大型ビジョンが中心です。
「福岡でもできるのか」「地元の駅や商業施設で成立するのか」と疑問に思って調べている方も多いのではないでしょうか。
先に結論を言うと、できます。
私たちトンガルマンは、福岡・広島・福井の駅で、それぞれ裸眼3D映像を実際に制作してきました。
どの都市も1件ずつの経験ではありますが、東京の事例の紹介ではなく、自分たちで作って掲出したからこそ分かったことを、この記事でお伝えします。
- 福岡:西鉄福岡(天神)駅「SOLARIA DAIGAMEN」
- 広島:広島駅新駅ビル「オイスタービジョン」
- 福井:福井駅コンコースの大型柱巻LEDビジョン
3つとも、いわゆる「コーナー型(L字型)」のビジョンではありません。
その意味も含めて、順番にご紹介します。
福井駅でやったこと:恐竜T-REXを「柱」に住まわせる
最初に紹介するのは、北陸新幹線開業記念として福井駅で制作した恐竜T-REXの映像です。
使ったのは、駅コンコースの大型柱巻LEDビジョン。2本の柱に4面ずつ、計8面という、平面ともコーナー型とも違う柱巻き型の媒体でした。
▶ 福井駅 恐竜T-REXの制作実績記事はこちらをご覧ください。
やってみて分かったこと
柱巻きという形状で立体感をどう見せるかは、制作前の検証が重要でした。そこで制作では、実寸大の映像を映して設置環境を再現しながら、立体感がどの程度表現できているかを確認しました。
もうひとつ、この案件で手応えがあったのが音です。
恐竜が奥にいるときは足音を小さく、手前に迫ってきたときは大きく。この音量の出し分けは、LEDビジョン側の機能ではなく、映像編集の段階でマスター音源そのものを調整して作っています。視覚と聴覚の両方で「大きな恐竜がそこにいる」臨場感を狙いました。
題材に選んだのは、福井を象徴する恐竜化石の文化です。
最後に大きく口を開けた恐竜は、来訪者が写真を撮りたくなるフォトスポットとして設計しました。
福岡・天神駅でやったこと:駅のビジョンを「巨大な水槽」にする
福岡では、西鉄福岡(天神)駅の大型ビジョン「SOLARIA DAIGAMEN」で、地元の水族館「マリンワールド海の中道」とのコラボによるイマーシブ3D OOH広告を制作しました。
このビジョンはフラットな平面LEDです。画面に折れ角はありません。
▶ 西鉄福岡(天神)駅「SOLARIA DAIGAMEN」の制作実績記事はこちらをご覧ください。
やってみて分かったこと
平面の画面で立体感を出すために、映像は巨大な水槽を見上げているような構造で設計しました。
- ペンギンが目の前を泳いでいるように見せる
- 水中から視聴者に向かって飛び出してくる演出を入れる
- 背景に実際の建物の写真を使い、現実の風景と映像を錯覚させる
狙いは、駅という日常の空間で、水族館の「その場に入り込む感覚」を先取りして体験してもらい、来場につなげることです。
そしてこの福岡の実例を見た地元の企業・団体から、「同じような映像を作りたい」という相談が実際に届いています。
地方で実物を見た方が「自分たちの地域や施設でもできるかもしれない」とイメージしてくれる——これは作った側として、率直にうれしい反応でした。
広島駅でやったこと:駅の玄関口から地元スポーツの熱気を発信する
広島では、広島駅新駅ビル中央アトリウム「エキ×デンスクエア」の「オイスタービジョン」(横幅約7メートル×高さ約2メートルの平面LEDビジョン)で、3Dキャラクター「アカツキ」が
- 広島東洋カープ
- 広島ドラゴンフライズ
- サンフレッチェ広島
の地元プロスポーツ3チームとコラボする映像を制作しました。それぞれのユニフォーム姿・チームカラーで登場し、駅の玄関口から街の熱気を発信する企画です。
▶ 広島駅「オイスタービジョン」アカツキの制作実績記事はこちらをご覧ください。
やってみて分かったこと
ここも平面LEDです。そして横幅7m×高さ2mという、大型の街頭ビジョンとは違う横長の画面です。
それでも、キャラクターの存在感・手前に迫る動き・駅空間との関係性を設計することで、3D表現は成立しました。
もうひとつの学びは題材です。全国どこでも通じるメッセージより、その街の人が自分ごとにできる題材——広島ならスポーツチーム——のほうが、駅で足を止める理由になります。
番外編:大阪のビジョンで「地方の魅力」をPRした例もあります
地元のビジョンで地元向けに流すだけが、地方×3D広告の形ではありません。
大阪駅のビジョンでは、「富山で休もう。」とやま観光キャンペーンとコラボし、雷鳥・白エビ・カニなど富山の特産を手書きイラスト調の裸眼3Dで描きました。大都市のビジョンを使って、地方への観光誘致を狙うという逆方向の使い方です。
▶ 大阪駅「富山で休もう。」とやま観光キャンペーンの制作実績記事はこちらをご覧ください。
観光やUIJターンなど「都市部の人に地元を知ってほしい」施策では、この形も選択肢になります。
3つの都市で作ってみて、いま感じていること
1件ずつの経験からですが、共通して感じていることが4つあります。
1. その土地の題材は「ここでやる必然性」を生む
福井の恐竜、広島のスポーツ、福岡の水族館。どれもその土地にしかない題材です。
伝説・伝承・名物のような地域の文脈を主役にすると、「なぜこの街で、この映像を見せるのか」に自然な答えが生まれます。私たちは、「ビジョン×その土地にしかないもの」の組み合わせがコンテンツを強くすると考えています。
2. 駅の映像は、広告であると同時に「街の風景」になりうる
駅で毎日流れる映像は、通りすがりの広告であると同時に、その場所の風景の一部になります。
福井の恐竜のように写真を撮りたくなる存在は、「あの恐竜のところで待ち合わせ」といった、街の目印になれる可能性を持っています。一過性の話題化だけでなく、そういう定着のしかたを目指せるのは、地方の駅ならではだと思います。
3. コーナー型ビジョンがなくても、設計次第で成立する
福岡も広島も平面LED、福井は柱巻きで、3件ともコーナー型ではありません。
「地方にはL字型のビジョンがないから無理」と諦める必要はない、というのが私たちの実感です。なぜ平面の画面でも立体に見えるのかは、別記事「なぜ立体に見える?裸眼3D広告の仕組みとは?」で詳しく解説しています。
4. 地方ならではの話題化の余地がある
正直に言うと、最近は裸眼3Dの映像を出すだけで拡散する状況ではなくなっています。
そのうえで、地方には地方の話題化の作り方があります。地域の文脈と、開業・記念・観光といったニュースになるタイミングを重ねられることが、地方の強みだと考えています。
もうひとつ、地方ならではだと感じているのは、「その街で初めての裸眼3D」であること自体が、人を集めるきっかけになることです。都市部では裸眼3Dは珍しいものではなくなりましたが、地方ではまだ「見に行く理由」になります。実際に、人を集める取り組みのひとつとして裸眼3Dを検討したい、というご相談もいただいています。
地方で検討している方へ
私たちに分かるのは、あくまで映像コンテンツとして何ができるかです。
媒体費や放映枠の詳細は、掲出先の媒体社・広告代理店の領域なので、そちらへの確認が必要になります(ビジョンの種類・費用の構造・制作期間の目安は、別記事「3Dサイネージの種類と、制作の基礎知識」で整理しています)。
そのうえで、
- 地元の駅や商業施設のビジョンで何ができるか知りたい
- 施設の開業・周年・観光キャンペーンに合わせられるか知りたい
- 地域の題材をどう映像化できそうか、当たりをつけたい
といった構想段階のご相談は歓迎です。福岡・広島・福井でやってきたのと同じように、その場所の条件から一緒に考えます。
まとめ|「地方でもできる」は、実際にやってきた私たちの実感です
裸眼3D広告は東京の大型コーナー型ビジョンだけのものではありません。
福岡・広島・福井——私たちが実際に制作した3つの駅の事例は、どれもコーナー型ではないビジョンで、その土地の題材を主役にして成立しています。
1件ずつの経験ではありますが、だからこそ言えることがあります。
地方の3D広告は、東京の真似をするものではなく、その街にしかない題材と場所の条件から設計するものです。
「うちの街でもできるだろうか」という段階で構いません。
地元のビジョン・施設・題材の条件から、一緒に考えるところから始めましょう。
裸眼3D広告の企画・制作について詳しく知りたい方は、3D広告コンテンツ制作サービスページからお気軽にご相談ください。
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